薬の名前の由来その9

ドブポン

急性循環不全改善剤(強心剤):協和発酵キリン、主成分 ドブタミン塩酸塩

塩酸ドブタミンをシリンジポンプを用いて投与することに由来。ドブタミン自体が強烈ですが、それを上回るインパクトを持つ名前です。シリンジポンプとは、薬液を一定の速度で血液に注入する装置です。

ハイスコ

鎮静剤:杏林製薬、主成分 スコポラミン臭化水素酸塩水和物

Scopolamine Hydrobromide から HYSCO(ハイスコ)とした。Scopolamine Hydrobromideという並びの前後を反転させています。「スコ」ってのが間が抜けているような気がします。

ベハイド

血圧降下剤(利尿剤):杏林製薬、主成分 ベンチルヒドロクロロチアジド

主成分のBenzyl hydro chlorothiazide からBEHYD とした。語呂や語調の関係なのでしょうが、化合物の本体部分を表すchlorothiazideの部分が名前に入っていないのは、ちょっと意外です。

エースコール

胆汁・腎排泄型ACE阻害剤:第一三共、主成分 塩酸テモカプリル

「ACE阻害薬」の「エース(ACE)」に音感の良い語尾「コール(COL)」を付した。ACEはアンギオテンシン変換酵素という血圧に関わる酵素。一方で、優れた降圧作用を有することから、降圧剤の中のエースという意味もあるのではないかと思います。

S・M 散

調剤用胃腸薬:第一三共エスファ、主成分 タカジアスターゼなど

三共(Sankyo)が開発したMagen Mittel(ドイツ語の胃薬)。最初は何の略かと思いました(笑)が、実はきちんとした由来がありました。

ウロナミン

尿路殺菌消毒剤:発売中止、主成分 マンデル酸ヘキサミン

Uro(尿の意味)+MethenamineからUronaminとした。一文字違えば、栄養ドリンクですね。~アミンというのは、比較的多い名前の付け方ではあります。

カトレップ

外用鎮痛消炎剤:帝國製薬、主成分 インドメタシン

Catch(取り抑える)& Lessen(減らす)Pain(痛み)より。なかなかセンスがいい名前。炎症を取り押さえる、強そうな効果を期待させます。

ペオン

非ステロイド性鎮痛・消炎剤:ゼリア新薬工業、主成分 ザルトプロフェン

Pain(痛み)がNon(無い)、および成分がプロピオン酸系に属する化合物であるため、これらを組み合わせて命名した。「成分がプロピオン酸系に属する化合物」っていうのは後付けっぽいですが。

オンクラスト

抗がん剤:万有製薬(販売中止)、主成分 アレンドロネート

洋名の商標名である「Onclast」命名の由来は、次の通りである。 ・On+Clastによる命名の由来 On:Oncology(腫瘍)の頭文字2 つを採用することにより、本剤は悪性腫瘍を伴う患者に使用される薬剤であることを意図した。 Clast:本剤は破骨細胞に作用することから、Osteoclast の後から5 文字を採用した。残念ながら発売中止となってしましたが、名前の由来について非常に丁寧な解説がされている薬です。

ノボリン

インスリン製剤:ノボ ノルディスク、主成分 インスリン

Novoとinsulinの合成語。NOVOって言うのは、製薬会社ノボ ノルディスク ファーマから来ています。ノボ ノルディスクの社名は「新しい」を意味するラテン語に由来する「ノボ」と、デンマーク語で「北欧」を意味する「ノルディスク」から作られています(ノボ ノルディスク社Webサイトより)。ノボリン、カワイイ名前ですね。