この記事では、パラフィルムの特徴や使い方についてわかりやすく説明します。
パラフィルム(正確な商品名はParafilm M)は、ロウやポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)を配合した無色のプラスチックフィルムです。実験器具であるフラスコや試験管の口に貼り付けたり巻き付けたりして、容器を密封するために用います。
字が書いている紙の部分(剥離ライナー)にプラスチックフィルムが貼り付いています。剥離ライナーを剥がしてフィルムを伸ばし、フラスコの口や試験管の口に直接貼り付けたり、蓋と容器の境目に巻き付けます。
パラフィルムは、のびやすく(カタログによれば、3.5倍以上の長さに伸ばせ、350%以上伸びます)、薄く広げられるので不規則な形状の容器にも密着させることができます(写真)。
また、自己接着性があるので、巻きつけてフィルムが接着させることで、密封や固定をすることができます。これらの特徴を用いて、様々な容器の密封に使うことができます。
具体的な使い方としては、、フラスコやビーカーの簡易的な蓋、サンプルチューブからの液体の漏れ防止、メスシリンダーを用いた転倒混和のためのふた、試薬の吸湿を防ぐため容器の蓋の上から更に密封する、などがあります。薬学系、医療系、生物系、化学系などの分野でさまざまな用途に使われています。
パラフィルムは、強酸、強アルカリ、有機溶媒など、薬作りに使用する薬品にさらされても分解されないため、非常に使い勝手がよい道具です。ただし、熱にはあまり強くないことに注意が必要です。
パラフィルムの歴史は古く、1930年代アメリカのMarathon Paper Mills Companyによって開発されました(現在は、アメリカの Amcorが製造販売)。開発当時は、花などの包装用(Parafilm F)、植物の接ぎ木用(Parafilm G)、熱シールによるマウント用(Parafilm M)、チーズの包装用(Parafilm C)がありました。ただ、現在販売されているのは、Parafilm Mのみとなっています。
Parafilm Mの”M"の由来は正確にはわかりませんが、参考文献から読み取ると”Mount”のMのように思えます。透明かつ伸びる性質と、熱に弱い(熱で変形しやすい)点は、本来の開発目的である熱シールとしての役割を十分果たすものですが、現在では透明かつ伸びる点と耐薬品性から研究現場の必需品となっています。
参考:Parafilm – A latex-base material The Rubber Age. Penton Business Media. 41 (3), 178, 1937.スポンサーリンク
スポンサーリンク