凍りやすい有機溶媒DMSOとは?

『DMSO(ジメチルスルホキシド)』は、薬作りで頻用される有機溶媒です。室温では液体ですが、融点が18.6℃と非常に高く凍りやすい試薬です。数十年前のことですが、空調の効いていない冬の実験室では、試薬瓶の中でDMSOが凍る風景をよく見かけたものです。

DMSOは様々な化合物を溶かす事ができるので、生物系の実験では評価する化合物の粉を溶かすために使います。また、通常の有機溶媒よりも融点が高く、通常の冷凍庫で簡単に凍らせることができるため、化合物の溶液保存用の溶媒という用途もあります。化学系の実験では、化学反応や化合物の機器分析(NMR)における溶媒として使用されます。

DMSO

薬の候補になる有機化合物の多くは、水に溶けにくく、有機溶媒には溶けやすい性質を持ちます。細胞やタンパク質を用いた実験では、水をベースにした溶液をつかう必要があるので、化合物を水に溶かす必要があります。

DMSOは、水に溶けやすい構造(親水性)と油に溶けやすい構造(疎水性)の両方を持つので、水にも油にも溶けやすい物質です。水に溶けにくい化合物であっても、DMSOが仲立ちすることによって、水溶性の性質をもたせることができます。

生物系の実験では、化合物をDMSOに溶かして濃度が高い溶液をつくり、DMSO溶液を水や培地、栄養液で薄めてから、実験に使用します。

溶液を保管するときには、少量(0.1mLくらい)を96穴プレートや384穴プレートにいれて冷凍庫に保存します。1枚のプレートで100種類以上の溶液を保存することができます。