「マグヌス法」ってどういう意味?

「マグヌス法」とは、筋肉の収縮/弛緩(縮む・緩む)を指標に、薬物の作用を評価したり作用機序を研究する方法です。

マグヌス法では、栄養液(筋肉の収縮に必要なイオンやブドウ糖などの栄養素を加えた水溶液)を満たしたマグヌス管と呼ばれる装置の中に筋肉を吊るし、薬物や電気刺激を起こすことで生じる筋肉の収縮や弛緩を測定します。

マグヌス法という名前は、ドイツの薬理学者Rudolf Magnusの名前に由来しています。Rudolf Magnusは、現在行われているマグヌス法の原型を1904年に見出しました。約100年の歴史を持っており、薬理学の世界では伝統的な研究方法です。

マグヌス法では、血管、消化管、気管、泌尿器、生殖器、心臓などなど様々な臓器の筋肉が評価可能です。薬剤開発では、これらの内蔵の筋肉(主に平滑筋・心筋と呼ばれる種類)への作用を調べ、生体での効果を予想します。血管の場合は血圧への作用、気管の場合は喘息などで収縮した筋肉を緩める作用、心臓では収縮力を高め血液を送り出す作用を高める作用、などを評価します。

マグヌス法のやり方は以下のとおりです。筋肉を切り出し、上下にそれぞれ糸をつけ栄養液が入ったマグヌス管のなかに吊るします。このとき、上下方向に引っ張って力をかけます。筋肉は何もしなくても勝手に収縮(自発収縮)することがあるので、落ち着くまで待ちます。その後、収縮薬を栄養液内に加えると、筋肉が縮みます。この収縮力を電気的に計測し(トランスデューサーという部品で、力の大きさを電気信号に変換します)、アンプをとおしてペンレコーダーに出力します。すると、収縮力が増えることにより、ペンがウニャ~って感じで動き、筋肉が収縮するのがありありと分かります。

マグヌス法は、薬が効いてるぞ、ってのがありありと分かる実験なので、「マグヌス法は薬理の王道」とも言われます。もちろん、収縮薬の作用に対する収縮抑制薬の作用を評価することも可能です(薬作りでは、この実験が行われることが多い)

昔は、電気的に収縮力の検出が出来なかったので、糸の先に鉄の棒をつけペンの代わりにし、煤紙をロール状にしたものをレコーダー代わりにして実験したそうです。筋肉が縮むと、てこの原理で棒が上がり、煤紙上に白い線がウニャ~って感じで出てきます。

マグヌス法、イメージわいたでしょうか?