エルプラット(オキサリプラチン)とはどんな薬?

エルプラット(ヤクルト、主成分 オキサリプラチン)は、大腸がん(結腸癌および直腸癌)の治療に用いられる抗がん剤です。

エルプラットは、大腸がんの標化学療法剤において、標準的に用いられています。エルプラットは、他の抗がん剤と併用して用いられます。エルプラットと併用される薬剤は、5-FU(協和発酵キリン、主成分 フルオロウラシル)とアイソボリン(ファイザー、主成分 レボホリナートカルシウム)です。これら3剤を用いた大腸がんの化学療法の方法を、これらの薬の成分の頭文字をとって FOLFOXと呼んでいます。

エルプラットは、がん細胞のDNAと結合することで、がん細胞がDNAをコピーできなくすることで、がん細胞の増殖を押さえます。エルプラットの分子内には、白金(プラチナといったほうがわかりやすいですね)原子が存在します。この白金分子がDNAを形作る核酸の鎖と結合する性質を持っています。すると、エルプラットが結合した部分がDNAをコピーするタンパク質の働きを止めてしまうので、DNAの合成が起こらず、がん細胞が増殖できないという訳です。

エルプラットの主成分であるオキサリプラチンは、日本人研究者によって合成されました。ヨーロッパの製薬会社で臨床試験が行われ、まずは海外で使用されるようになりました。日本では、ヤクルトが臨床試験を担当し、2005年に日本国内で承認されました。

抗癌剤には副作用が多く認められますが、エルプラットに特徴的に認められる副作用としては末梢神経障害があります。エルプラットは点滴静注によって投与されるのですが、投与直後から痛みやしびれなどの異常感覚を生じます。この異常感覚は自然に治まるのですが、一部の患者さんでは、一週間から数週間後に再び起こり、この作用は長く続きます。この感覚異常は、エルプラットによって末梢神経に何らかの刺激やダメージが与えられるためだと考えられています。

エルプラットで認められる他の副作用としては、他の抗癌剤でも認められる骨髄抑制(血液細胞をつくる骨髄細胞の機能が低下する)が起こることがあります。また、吐き気、食欲不振などが起こりますが、これらの症状については、セロトニン受容体(5-HT3受容体)拮抗薬やステロイドの投与により、軽減させることが可能です。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


エルプラット(オキサリプラチン) の構造式