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フロモックス| 病院でもらった薬の値段TOP

フロモックス
(塩酸セフカペン ピボキシル)
フロモックス(塩野義製薬、主成分塩酸セフカペン ピボキシル、薬価 100mg 錠 =57円)は、セフェム系と呼ばれる種類の抗生物質です。セフェム系抗生物質とは、セファロスポリンという抗生物質の構造を変化さて合成された抗生物質のことで、フロモックスもその中の一つです。

以前ペニシリンGについての記事を書きましたが、フロモックスは、ペニシリンGにくらべ、広い範囲の細菌に対して殺菌作用を示します。また、フロモックスはペニシリンGに対して耐性を示す細菌(薬剤耐性菌)に対しても殺菌作用を示します(もちろんフロモックスに対する耐性菌には効かないのですが)。

フロモックスのもとになったセファロスポリンは、ペニシリンと同じく、微生物が作り出す天然物で、地中海に浮かぶ小島の排水溝の中にすむ微生物から発見されました。このセファロスポリンの構造を、化学合成により色々変化させ、試行錯誤の結果、フロモックスのような数多くのセフェム系抗生物質が生まれました。

もちろん、ペニシリンGの構造を変化させた化合物もあるのですが、現在のところ、セフェム系抗生物質の方が、はるかにバリエーションに富み、様々な薬剤が使われています。

これはなぜなのか、セファロスポリン、フロモックス、ペニシリンGの構造を比較することで、考えて見ましょう。

フロモックスの構造は、セファロスポリンはもちろん、ペニシリンGとも似ています(下の図参照)。共通しているのは、真ん中にある正方形の部分。この構造をβラクタム骨格と呼んでいます。このβラクタム骨格が、フロモックス、セファロスポリン、ペニシリンGの殺菌作用のメカニズムに大きく関与しています。

一方、フロモックス、セファロスポリンと、ペニシリンGとで違っているのが、その正方形のとなりにある環構造です。ペニシリンGは五角形、フロモックス、セファロスポリンは六角形。この五角形と六角形の違いが、合成化学的には非常に大きいと考えられます。

ペニシリンGやセファロスポリンよりも能力の高い化合物を作るには、ペニシリンGやセファロスポリンに似た多種類の化合物を合成して、その中から優れた性質を持つ化合物を探す、という方法がとられます。この方法では、ペニシリンGやセファロスポリンにいろいろな部品を付け加えたり、部品を入れ替えたりする必要があります。つまり、化合物の構造の中に、部品を変えられる場所が多ければ多いほど多種類の化合物が作れ、よい化合物が得られる可能性が増えます。

ペニシリンGの五角形には、部品を変えられる場所が1カ所あります(Nの1つ隣、Sの2つ隣にある炭素原子)。それ以外のところに無理矢理部品を入れ替えると、活性がなくなってしまいます。一方、セファロスポリンの六角形には、部品が入れ替えることができる場所が2カ所あります(二重結合を作っている炭素原子2個)。
このため、セファロスポリンから化合物を合成する方が、より多種類の化合物が作りやすく、その分フロモックスのような効果のある化合物が見つけやすいということになります。

新薬を開発するときには、まずリード化合物という出発となる化合物を選びます。フロモックスをはじめとするセフェム系抗生物質の場合は、セファロスポリンがリード化合物です。新薬開発では、リード化合物のよしあしで、化合物の開発の難易度、成否が大きく変わります。その点、セファロスポリンはより優れたリード化合物といえます。セファロスポリンを作り出した微生物のことを考えると、自然はやっぱり凄いなぁ、と思います。



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フロモックス(塩酸セフカペン ピボキシル)の構造式
フロモックス(塩酸セフカペン ピボキシル)の構造式

セファロスポリン(セファロスポリンC)の構造式
セファロスポリン(セファロスポリンC)の構造式
ペニシリンGの構造式
ペニシリンGの構造式

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