アレグラ| 病院でもらった薬の値段Part2


アレグラ
(塩酸フェキソフェナジン)
アレグラ(サノフィ・アベンティス、主成分塩酸フェキソフェナジン、薬価 30mg 錠 = 59円)は、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、じんましん、などのアレルギー症状の治療に用いられる薬です。余談ですが、アレグラのイメージキャラクターには、ハクション大魔王(とアクビちゃん)が使われています。これは、アレグラが花粉症のくしゃみを抑える、ことに由来していると思われます。

アレグラは、抗ヒスタミン薬と呼ばれる種類の薬です。ヒスタミンは、アレルギー症状を引き起こす原因である生体内の物質です。生体内にアレルギーの原因となる異物が進入すると、免疫系の細胞からヒスタミンが分泌されます。ヒスタミンは、血管にあるヒスタミン受容体(H1受容体)というタンパク質へ結合して活性化させます。血管のH1受容体が活性化すると、血管の中から水が染み出しやすくなり、浮腫(じんましんの水ぶくれ)などのアレルギー症状が起きます。また、鼻の粘液を出す細胞のH1受容体が活性化すると、粘液が大量に分泌され、鼻水の原因となります。

アレグラは、H1受容体と強く結合する作用を持つため、ヒスタミンがH1受容体と結合するのを防ぎ、アレルギー症状を鎮めます。また、アレグラは、ヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー反応を起こす物質が、免疫系の細胞から分泌されるのを抑える作用も持っています。

このようにアレグラは、いろいろな方向からヒスタミンの作用を抑制して、アレルギー症状に対する治療効果を示します。

アレグラのような抗ヒスタミン薬は、古くから用いられている薬です。アレグラが古くからの抗ヒスタミン薬と違うのは、「アレグラでは眠気がおきにくい」というところです。実は、脳の中にもヒスタミンやH1受容体があり、精神活動をコントロールしています。抗ヒスタミン薬が脳内に入ると、神経活動を抑制することになり、眠気が生じます。風邪薬やアレルギーの薬を飲むと、眠気が起きたり頭が重くなるのは、成分中に含まれている(古い)抗ヒスタミン薬の仕業です。

アレグラは、これまでの抗ヒスタミン薬とは違い、眠気が起きにくい薬です。これは、アレグラが脳の中に入りにくい性質を持っているからです。

脳細胞と脳の血管の間には、脳血液関門というバリアがあって、血液から脳内へは薬が入りにくくなっています。しかし、古い抗ヒスタミン薬は、このバリアをくぐり抜ける性質をもっているので、脳内に入りやすく、眠気が生じやすくなっています。

一方、アレグラは、脳血液関門を通過しにくい構造を持っています。その秘密は、アレグラの構造式の中にある-COOH(カルボキシル基)という構造にあります。脳血液関門は水に溶けやすい化合物を通しにくいという性質を持っています。一方、カルボキシル基は、化合物に水に溶けやすくする性質を与えることができます。このため、アレグラは脳血液関門をとおりにくく、脳内に入ることができないのです。

さて、アレグラのカルボキシル基ですが、アレグラの眠気防止に関わるだけではなく、もうひとつ重要な働きをしています。

アレグラは、もともと、トリルダン(主成分テルフェナジン)という抗ヒスタミン薬が肝臓で変化(代謝)を受け、カルボキシル基ができることで生じる物質(活性代謝物)、として見つかりました。トリルダンは眠気が少ない抗ヒスタミン薬を目指して開発されたのですが、トリルダンの抗ヒスタミン作用は、実はトリルダンが肝臓で変化してできたアレグラの作用だったのです。だから、トリルダンでは眠気が少ないという特徴は、アレグラに由来しているわけです。

このトリルダンには重大な副作用がありました。トリルダンは、心臓のリズムを乱す作用、つまり不整脈を起こすことが多かったのです。この不整脈は、最悪、死につながる重大な副作用でした。この不整脈の発生メカニズムを調べた結果、この不整脈は、トリルダンが、心臓のリズムを作るのに重要な役割を果たすhERG(ハーグ)というタンパク質の働きを抑制することが原因で起こることがわかりました。

トリルダンは、この副作用が元で、使用することができなくなりました。そこで、トリルダンの抗ヒスタミン作用の原因化合物であるアレグラが注目されることになりました。そして、研究の結果、アレグラはhERGの働きを抑制することはなく、不整脈を起こすこともないということが明らかにりました。トリルダンにカルボキシル基がつくことで、hERGに対する作用がなくなったのです。

アレグラは、非常によく使われるアレルギー治療薬に成長しましたが、これはカルボキシル基のおかげといっても過言ではありません。COOHたったという4つの原子、で毒が薬に変わる。不思議なものですね。



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アレグラ(塩酸フェキソフェナジン)の構造式

アレグラ(塩酸フェキソフェナジン)の構造式
トリルダン(テルフェナジン)は、COOHのところがCH3

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