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シンメトレル| 病院でもらった薬の値段Part2


シンメトレル
(塩酸アマンタジン)
シンメトレル(ノバルティス、主成分塩酸アマンタジン、薬価 50mg 錠 = 30.1 円)は、様々な病気に使われる薬です。シンメトレルは、パーキンソン病(脳内のドーパミンが不足して、運動障害を起こす病気)の治療薬として使われています。しかし、最近では、シンメトレルといえばA型インフルエンザの治療薬、でしょう。

シンメトレルは、アメリカのDu Pont社で開発され、アメリカでは1967年に発売された古い薬です。シンメトレルは、もともとはA型インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス薬として開発されました。

シンメトレルは、A型インフルエンザウイルスの増殖を抑制する作用を持ちます。インフルエンザウイルスは、ウイルスの本体である核酸がカプシドという殻の中に収められた構造をしています。A型インフルエンザウイルスが細胞内に進入すると、このカプシドの表面にあるM2チャネルという穴を通して、細胞内の水素イオンがカプシドの中に流れ込みます。この刺激によりカプシドは壊れ、ウイルスの核酸が細胞内へ放出されます。放出された核酸は、細胞の核へと移動し、細胞のもつ核酸複製装置やタンパク質製造装置の力を借りて、ウイルスのコピーをおこない、どんどん増殖します。

シンメトレルは、カプシドにあるM2チャネルの働きを邪魔することで、ウイルスの核酸が細胞内に進入するのを妨げ、ウイルスの増殖を防ぎます。このメカニズムはシンメトレル独特のもので、他のインフルエンザ治療薬であるタミフルやリレンザの作用メカニズム(ノイラミニダーゼ阻害)とは異なります。また、シンメトレルは、A型インフルエンザウイルスのM2チャネルのみを阻害するので、A型以外のインフルエンザウイルスに対しては抗ウイルス作用を示しません。

最初に書いたとおり、シンメトレルは、パーキンソン病に対する治療効果があるのですが、この作用はシンメトレルがインフルエンザの患者さんに使われだして、はじめて発見されました。インフルエンザのパーキンソン病の患者さんにシンメトレルが処方されたのですが、シンメトレルを服用しだしてから、パーキンソン病の症状が改善したのです。

これは意外な発見でした。その後、十年近い研究と臨床試験のすえに、シンメトレルにはパーキンソン病の治療薬としての効能が追加されました。日本でシンメトレルが発売されたのは1975年ですが、このときは、シンメトレルはインフルエンザの薬ではなく、パーキンソン病治療薬として発売されました。日本でシンメトレルがA型インフルエンザ治療薬として発売されたのは1997年、つい最近の出来事です。私が大学生のころの授業では、シンメトレルはパーキンソン病の薬として紹介され、抗ウイルス薬としての紹介はほとんどされなかったのを覚えています。

シンメトレルのパーキンソン病治療薬としての作用メカニズムは、実はまだよくわかっていません。パーキンソン病は、脳の中のドーパミンという物質が不足することで、運動障害が起こる病気です。シンメトレルはパーキンソン病患者の脳内のドーパミンを増やす作用があります。この作用は、シンメトレルが、神経でのドーパミンの産生量をふやしたり、脳内へのドーパミンの放出を盛んにしたりするためにおこることがわかっています。しかし、シンメトリルが、どのようなタンパク質を介してこのような作用をもたらすのかについては、まだわかっていません。

シンメトレルは、A型インフルエンザにしか効かないということで、インフルエンザの治療薬としてはマイナー?な位置にあります。しかし、シンメトレルにはそれに勝るとも劣らないパーキンソン病治療薬としての実力があります。二つの顔を持つ薬、なんかかっこいいですね。


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シンメトレル(塩酸アマンタジン)の構造式

シンメトレル(塩酸アマンタジン)の構造式

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