ジスロマック| 病院でもらった薬の値段Part2


ジスロマック
(アジスロマイシン)
ジスロマック(ファイザー、主成分アジスロマイシン、薬価 250mg 錠 = 300.9円)は、様々な感染症の治療に用いられる薬です。ジスロマックは、マクロライド系と呼ばれる抗生物質の一つで、マクロライド環という大きな輪っかという、独特の構造を持っています。

ジスロマックは、ブドウ球菌やレンサ球菌、肺炎球菌やマイコプラズマという、様々な微生物に対して抗菌活性を持ちます。ジスロマックの特徴としては、現在最もよく使われている?ラクタム系抗生物質(ペニシリンやセファロスポリンの仲間、ケフラール、フロモックス、メイアクトなど)では抑えることができない、マイコプラズマという細菌に対して抗菌作用を持つことが挙げられます。

マイコプラズマは、マイコプラズマ肺炎という病気の原因である細菌です。マイコプラズマに対してβラクタム系抗生物質が抗菌効果を示さないのは、次のような理由です。

βラクタム系抗生物質は、細菌の外側を覆う細胞壁という部分の合成を止めることで抗菌作用を示します。細胞壁は、細菌の内と外の圧力差を吸収する役割を持つので、細胞壁がなくなると、この圧力のバランスが崩れ、細菌が破裂してしまうのです。しかし、マイコプラズマには細胞壁がありません。そのため、βラクタム系抗生物質は、マイコプラズマに対して作用することができません。

ジスロマックは、マイコプラズマを含むほとんどの細菌が持っている、タンパク質を合成するための装置、リボゾーム(これもタンパク質)に結合して、リボゾームの働きを止めてしまいます。ジスロマックによって、タンパク質合成ができなくなった細菌は増殖できなくなるので、最終的には死んだり、免疫細胞に食べられたりして、いなくなってしまいます。一方、ヒトの細胞のリボゾームは、細菌のリボゾームと構造が違うので、ジスロマックはヒトの細胞には作用を示さず、細菌だけに作用します。

ジスロマックは、細菌が潜んでいる組織に集中して分布するという優れた特徴をもっています。これは、細菌をやっつける役割を持つ白血球が、ジスロマックの運び屋となっているからです。

ジスロマックは、血液中に入ると白血球の中に浸透し、白血球の細胞内のリソソームという袋に閉じ込められます。これは、ジスロマックがリソソームの中に入ると、リソソーム内外の酸性度の違いにより、ジスロマックがリソソームの袋を通り抜けにくいタイプ(イオン型といいます)に変わってしまうからです。

さて、細胞が感染している組織に白血球が到着して細菌を食べ始めると、食べられた細菌はリソソームへと取り込まれます。すると、リソソーム内の酸性度が変わり、ジスロマックは、リソソームの袋を通り抜けられるタイプ(分子型)に戻ります。そして、ジスロマックは、白血球の膜を通り抜けて、目の前にいる細菌に襲いかかる、というわけです。白血球が薬を細菌の場所まで運んでくれる、というのは、とても効率的な仕組みですね。

生体内の特定の場所に薬を分布させるための仕組みをドラックデリバリーシステム(Drug Delivery System;DDS)と呼んでますが、ジスロマックの場合には、生体内の白血球を用いたDDSを利用しているというわけです。これは、ジスロマックだけでなく、マクロライド系の抗生物質全体に共通した性質です。いわば、自然がつくりだしたDDS、頭が下がります。

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ジスロマック(アジスロマイシン)の構造式
ジスロマック(アジスロマイシン)の構造式

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