アルダクトン(主成分スピロノラクトン)とはどんな薬?

アルダクトン(ファイザー、主成分スピロノラクトン)は、体内の水が増えることで生じる高血圧やむくみ(浮腫)の治療薬です。血液の水分量が増えると、循環に高い圧力が必要となって血圧が上がります。主成分のスピロノラクトンは、腎臓での尿の産生量を減らすホルモン「アルドステロン」の作用を弱めて尿の量を増やし、体内の水分量を低下させて、血圧を下げたり浮腫を改善します。また、男性ホルモンの作用を抑制する副作用がニキビの治療に用いられることもあります(ニキビへの使用には、健康保険は適用されません)。

目次

アルダクトンの作用メカニズム

生体内には、血液をはじめとして大量の水が存在します。水の量は、腎臓からの尿の産生により調節され、多くのホルモンが尿量のコントロールに関与しています。体内の水分量の異常は、高血圧やむくみ(浮腫)を起こします。

血液の水分量が多くなると、全身に血液を循環させるための圧力が高くなるので、高血圧になります。逆に、心臓の働きが弱くなると血液循環が悪くなり、全身の組織の血液が心臓に戻れなくなって水分がたまり浮腫が起こります(うっ血性心不全)。また、肝臓の血液循環が悪くなると、行き場を失った血液中の水分が血管から染み出して、むくみや腹水の原因となります(肝性浮腫)。

このような症状を改善するには、腎臓からの水分の排泄を高めて尿の量を増やすことが必要です。尿の量を増やす薬を利尿薬といい、さまざまな種類がありますが、アルダクトンは抗アルドステロン薬という種類の利尿薬です。

腎臓の糸球体は、血液をろ過して尿のもととなる原尿を作ります。原尿は、尿細管という部分で原尿からナトリウムが取り込まれるのと一緒に水も再吸収されます。吸収されなかった液体は尿となって体外に放出されます。

アルドステロンは、尿細管の中でも糸球体から遠い部分にある遠位尿細管の細胞にあるアルドステロン受容体に結合して活性化し、ナトリウム(Na+)を取り込むためのタンパク質であるNa+チャネルやNa+, K+-ATPアーゼの合成量を増やして、ナトリウムの取り込みを高めます。すると、ナトリウムと共に水分の再吸収量も増えるのです。

アルダクトンの主成分であるスピロノラクトンは、アルドステロン受容体に結合して、その機能を低下させ、ナトリウムが遠位尿細管から取り込まれないようにします。すると、水分の再吸収も低下し、腎臓での尿の産生量が多くなって体内の水分が減少します。このようにして、アルダクトンは体内の水分量を低下させ、高血圧や浮腫を改善するのです。


アルダクトンがニキビに効く理由

スピロノラクトンは男性ホルモンと似た構造を持っています、そのため、患者さんによってはアルダクトンを服用すると、男性ホルモンの作用が低下して副作用を生じます。たとえば、男性では乳房が腫れたり(女性化乳房)、毛が濃くなったり(多毛)します。また、女性では生理が乱れたり、男性とは逆に毛が薄くなったりもします。現在では、性ホルモンに対する作用が弱い新しい薬剤が使用されています(参考記事:セララ(エプレレノン)とはどんな薬?)。

一方、このホルモンバランスの乱れによる副作用を逆に利用し、男性の薄毛(男性型脱毛症)の治療やニキビの治療にアルダクトンが用いられることもあります。これらの病気は、男性ホルモンが必要以上に活性化することが原因なので、スピロノラクトンで男性ホルモンの作用が低下することが治療効果につながるとされています。

しかし、アルダクトンのにきびや薄毛への使用には保険が適用されないので、治療費は全額自己負担となります。本来、これらの病気への使用は想定されていないので、これらの目的での服用時の安全性について十分確認されたわけではないことに注意する必要があります。


アルダクトン(主成分スピロノラクトン)の構造式