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MSコンチン(塩酸モルヒネ)

MSコンチン錠60mg 
癌性疼痛の場合、1日20-120mg
薬価1日あたり2529.4円(1錠 1264.7円)
2017年6月現在

ケシという植物の果実から得られるアヘンには非常に強い鎮痛効果と幻覚作用があることが古くから知られており、痛み止めとして使われてきました。ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナーは、アヘンの有効成分を抽出生成した結果、モルヒネ等物質を見出しました。アヘン及びモルヒネは、その幻覚作用や依存性・中毒性から「麻薬」とされ、法律により厳しく管理されており、あまり良いイメージを持たれている薬ではありません。しかし、モルヒネの強力な鎮痛効果は、通常の鎮痛薬では抑えきれない激しい痛みをも止めることができることから、末期がん患者さんの激しい痛み(癌性疼痛)の治療には欠かせない薬物です。モルヒネと同じような化学構造と鎮痛作用を示すオピオイドと呼ばれる薬剤は、癌性疼痛のコントロールには欠かすことができません。

MSコンチンは、モルヒネがゆっくりと放出される徐放性製剤と呼ばれるタイプの飲み薬です。飲み薬を服用する場合、薬がどの程度の時間にわたって効果を示すかは、有効成分の化学的性質と有効成分が含まれる錠剤の性質によって大きく変わります。MSコンチンの錠剤は、モルヒネがゆっくりと放出される構造となっていることから、薬剤が長時間に渡って放出されることになり、作用時間が長くなる(8-12時間)と言う特徴があります。ただし、この特徴は徐放性製剤の構造によるものなので、錠剤を感で服用してしまうと、その効果はなくなってしまいます。徐放性製剤は、じわっと吸収され作用時間が長い、というタイプの薬であり、即効性を必要とする場合は他のタイプの薬を用いる必要があります。

モルヒネの作用機序(作用メカニズム)は、以下のとおりです。モルヒネは、オピオイドμ受容体というタンパク質に結合し、これを活性化する作用を持ちます。痛みという感覚は、末梢神経から脳へと伝達されますが、その伝達過程の途中には、神経細胞と神経細胞の接続部位であるシナプスという構造が存在します。単純化すると、シナプスは2つの神経細胞からなる神経伝達のスイッチのようなものです。片方の神経細胞(シナプス前細胞)が活性化されると神経伝達物質と飛ばれる物質がもう一方の神経細胞(シナプス後細胞)に向けて放出され、放出された神経伝達物質はシナプス後細胞に結合して活性化することで、神経伝達のスイッチがオンになります。神経伝達経路では、オピオイドμ受容体はシナプス前細胞に存在するので、オピオイドμ受容体が活性化すると神経伝達物質の放出が抑制されます。つまり、モルヒネを服用すると、シナプス前細胞で痛みの伝達経路のスイッチがオフとなり、末梢神経からの痛みを伝える信号がほぼ完全にブロックされることになります。これが。モルヒネ投与による鎮痛効果の作用メカニズムであり、他のオピオイド同様な仕組みで同様の効果を示します。

一方、モルヒネの代表的副作用である幻覚・多幸感、依存性(つまり使っているとやめられなくなる)や、呼吸困難・便秘についても、オピオイドμ受容体によるものとされています。便秘については、患者さんの生活の質(QOL;quality of life)を低下させます。これらの副作用は、オピオイドμ受容体が消化管や脳に存在し、それぞれの臓器の神経活動を抑制するためと考えられています。最近はモルヒネの投与法・使用法が進歩しており、専門の医師の指示通り服用すれば、対症療法を併用することなどにより副作用面での問題を小さくすることは可能です。また、強い痛みを持つ患者さんの場合は、依存性が生じにくいともされており、過度の不安は不要です・また、オピオイドには、長いこと使用すると鎮痛作用が弱くなる「耐性」という現象が起こります。しかし、複数の種類のオピオイドを順番に使っていく(オピオイドローテーション)ことで、オピオイドによる耐性を弱めることができます。




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塩酸モルヒネの構造式

塩酸モルヒネの構造式

 

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