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トフラニール| 病院でもらった薬の値段Part2



トフラニール
(塩酸イミプラミン)
トフラニール(ノバルティス、主成分 塩酸イミプラミン、薬価 10mg錠 = 9.6円)は、うつ病の治療薬です。トフラニールの抗うつ作用が発見されたのは、1957年、ちょうど50年前です。トフラニールは、抗うつ薬の中でも、最も歴史が長い薬です。しかし、トフラニールは、まだまだ第一線で活躍している薬でもあります。

1950年代は、クロルプロマジンという化合物をきっかけに、トフラニールなどの様々な精神作用薬が発見された、まさに革新の時代でした(クロルプロマジンの発見自体、面白いストーリーなのですが、これはまた、次の機会に)。クロルプロマジンは、統合失調症の治療薬として見つかりました。トフラニールは、このクロルプロマジンを改良する過程で見つかったのです。

トフラニールは、クロルプロマジンに似た構造をしているので、クロルプロマジンのような作用を持つと考えられました。トフラニールとクロルプロマジンの構造式を比べてみると、輪っかが3個つながっていて、しっぽがぶら下がっています。このしっぽは、トフラニールとクロルプロマジンとは全く同じです。

この当時は、薬を作って、即ヒトに飲ませてみるという荒っぽい時代でした。だからこそ、ヒトに効き目がある化合物を確実に見つけることができた、ということでもあります。いまでは、考えられませんが。

さて、実際トフラニールをヒトに投与すると、目的とする統合失調症の症状には効果がありませんでした。そこで、試しに、うつ病の患者にトフラニールを投与してみました。すると、予想外なことに、うつ症状が改善しました。トフラニールの抗うつ作用の発見です。

トフラニールが見つかったことで、これ以降、様々な抗うつ薬が作られました。それとともに、トフラニールの作用メカニズムの研究も進められてきました。現在、トフラニールの効くメカニズムは以下のように考えられています。

ヒトの脳内には、感情や意欲を調節している神経伝達物質、たとえばノルアドレナリンやセロトニン、があります。これら神経伝達物質は、必要なときに必要なだけの量が放出され、神経のスイッチをオンにすることで、感情や意欲を向上させます、

うつ病の患者の脳内では、このノルアドレナリンやセロトニンの量が減ることで、神経のスイッチが入りにくくなり、意欲の低下や感情の落ち込みを起こすと考えられています。トフラニールは、ノルアドレナリンやセロトニンの働きを強める働きがあります。

ノルアドレナリンやセロトニンは、神経から放出され、神経のスイッチを入れた後、また神経に吸収され、神経のスイッチはオフになります。トフラニールは、このノルアドレナリンやセロトニンが神経に吸収される(再取り込みされる)のを防ぎ、神経のスイッチがオフになりにくくすることで、ノルアドレナリンやセロトニンの働きを強め、抗うつ作用をしめすと考えられます。

トフラニールが、ヒトでいきなり作用が出た、ということは、トフラニールの作用がいかに強いか、ということの証拠です。ただし、いきなり見つかった荒削りな薬であるため、副作用も多いです。トフラニールは、ヒスタミンとかアセチルコリンとか、とにかくいろいろな神経伝達物質の作用も抑制します。そのため、口渇、排尿困難(アセチルコリン抑制、頻尿治療薬と同じメカニズム)、眠気(ヒスタミン抑制、風邪薬と同じメカニズム)など、バラエティにとんだ副作用を起こします。

トフラニールが発見されて50年経った現在では、トフラニールの作用メカニズムであるノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み、に関与するタンパク質(トランスポーター)を標的にした優れた抗うつ薬、たとえば、デプロメールやトレドミンなど、が発見&使用されています。これらのクスリは、トフラニールの副作用を少なくすることに、ある程度成功しました。

これからも、様々な抗うつ薬が開発されるでしょうが、トフラニールもまた、長い間にわたり使われ続けると思います。



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 トフラニール(塩酸イミプラミン)の構造式
トフラニール(塩酸イミプラミン)の構造式

クロルプロマジンの構造式
クロルプロマジンの構造式

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