レキソタン(ブロマゼパム)とはどんな薬?

レキソタン(中外製薬、主成分ブロマゼパム)は、神経症やうつ病でおこる不安や緊張、心身症の時に起こる不安・緊張や体調不良を治療するための薬です。また、手術前夜の不眠や手術前の不安を和らげるためにも用いられます。主成分であるブロマゼパムは、神経活動を低下させる神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)の作用を高めることで、不安を起こす脳部位の機能を弱め抗不安作用を示します。

レキソタンの主成分であるブロマゼパムは、化学構造式にベンゾジアゼピン構造(ベンゼン環(6角形の輪)とジアゼピン環(7角形の輪)がつながった構造)を持つことからベンゾジアゼピン系抗不安薬と呼ばれます。

ブロマゼパムは、神経細胞の電気的活動を低下させる神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)の働きを高める作用を持っています。GABAは、神経細胞の表面にあるGABAA受容体というタンパク質に結合して、神経細胞の興奮度を低下させて神経活動を抑制します。ブロマゼパムはGABAA受容体に結合してGABAの効果を強め、不安を引き起こす脳部位(大脳辺縁系など)神経の興奮を低下させて、抗不安作用を示します。(GABAやベンゾジアゼピン系化合物の作用メカニズムについては、「ベンザリン(ニトラゼパム)とはどんな薬?」「セルシン(ジアゼパム)とはどんな薬?」も参照してください)

ベンゾジアゼピン系薬剤は、脳の神経活動を幅広く抑制するので、睡眠作用や筋弛緩作用(筋肉の緊張をゆるめる作用)が同時に現れます。ブロマゼパムも、睡眠作用、筋弛緩作用を持ちますが、特に抗不安作用が強いとされています。

また、ベンゾジアゼピン系薬剤は、筋弛緩作用を利用して肩こりなどの筋肉の緊張で引き起こされる緊張性頭痛の治療にも使われます。例えば、デパス(エチゾラム)は、緊張性頭痛が適応症として認められています。レキソタンも強い筋弛緩作用を持つことから緊張性頭痛の治療に用いられますが、健康保険の適用外とされています(適用外使用といいます)。

多くの種類のベンゾジアゼピン系薬剤が使われていますが、抗不安作用、睡眠作用、筋弛緩作用の強さや作用持続時間はそれぞれ違います。医師は、薬剤の性質と患者さんの症状とを比較しながら治療薬を選択しています。

[この記事を書いた人]

薬作り職人

国内企業の医薬事業の企画部門に所属。入社後、生物系研究員として、化合物探索、薬理評価、安全性評価に携わりました。企画部門転属後は、研究員時代の経験と専門知識を活かし、各種創薬プログラムの企画運営に携わっています。薬剤師免許保有。


レキソタン(ブロマゼパム)の構造式