薬の名前の由来その6

ケルロング

血管拡張性β1遮断剤:サノフィ、主成分ベタキソロール塩酸塩

β-blocker「β-遮断剤」Long acting「長時間作用が持続する」,「長時間作用型のβ-遮断剤」という意味。βとは、生体内のアドレナリンが作用するタンパク質(アドレナリン受容体)のうちの1種。といっても名前にβは出てきませんが。「ケル」の由来は謎。

シンセペン

抗生物質:明治製菓(製造中止)、主成分 フェネチシリンカリウム

Synthetic Penicillin = 合成のペニシリン。ペニシリンはもともと青カビから見つかりましたが、化学合成で手を加えることで、効果が更に強力になりました。

ホクナリン

閉塞性気道疾患用剤(喘息治療剤):マイラン、主成分 ツロブテロール

北陸製薬(株)(現 アボット ジャパン(株))において新規に合成・開発された交感神経アドレナリンβ2-受容体刺激薬であることに由来する。最近騒がしい、企業の合併吸収劇を感じさせます。

参考記事:ホクナリンテープ(塩酸ツロブテロール)とはどんな薬?

ニューロタン

A-IIアンタゴニスト:MSD、主成分 ロサルタンカリウム

本剤がA-Ⅱアンタゴニストという新しいクラスの降圧薬に属することより、ニュークラスを表すNU と一般名であるロサルタンを表すLOTAN をあわせて、NU-LOTAN と命名された。○○タン、かわいいですね。一般名とは、商品名ではない化合物名のことです。AIIアンタゴニストの一般名には語尾がサルタンのものが多いです。

参考記事:ブロプレス(カンデサルタン シレキセチル)とはどんな薬?

ガストローム

胃炎・胃潰瘍治療剤:田辺三菱製薬、主成分 エカベトナトリウム

Gastro(胃)+Loam(砂と粘土が堆積した地層)。本薬剤が胃粘膜を覆うように堆積層を形成し、胃を守る様を表現した。胃に薬が作用するのが目に見えるようです。ロームというのは関東ローム層のロームですね。

タリビッド

広範囲経口抗菌製剤(ニューキノロン系抗菌剤):第一三共、主成分 オフロキサン

Target(標的)のTarとvivid(躍動的,きびきびしたの意)のividからTarividとし,力強く標的臓器に到達する本剤を表現した。体中にいる細菌に薬が届くのはとっても大事です。タリビットは、そこの点ですごい進化を遂げたので、ここが売りってことになります。

参考記事:クラビットとタリビッド(レボフロキサシンとオフロキサン)とはどんな薬?

クラビット

広範囲経口抗菌製剤(ニューキノロン系抗菌剤):第一三共、主成分 レボフロキサシン

「Crave(熱望する、切望する)it」からCravitとし、待ち望まれた薬剤であることを表現した。じつは、クラビットが出る前は、某製薬は経営危機だったらしいです。クラビットは爆発的に売れ、まさに待ち望まれた薬剤となりました。

参考記事:クラビットとタリビッド(レボフロキサシンとオフロキサン)とはどんな薬?

ジオン

内痔核硬化療法剤:田辺三菱製薬、主成分 硫酸アルミニウムカリウム水和物,タンニン酸

痔(Zi)核を1回(One)の治療で治すに由来する。分かりやすい由来ですね。本当に1回で治るのでしょうか?

参考記事:ジオン注(硫酸アルミニウムカリウム水和物,タンニン酸)とはどんな薬?

シグマート

狭心症治療剤:中外製薬、主成分 ニコランジル

シグマートはすべての抗狭心症剤を集約(Sigma)するという期待をこめて命名された。抗狭心症薬の中の抗狭心症薬というイメージですね。たしかに、主成分のニコランジルは、教科書にも載ってます。

ドセラン

ビタミンB複合製剤:中外製薬、主成分 ヒドロキソコバラミン酢酸塩

仏語で12を表すDouzeに由来。ビタミンB12ということなので。フランス語由来って珍しいかもしれません。